2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

芝居

先日見た、あるお芝居。ひたすら下世話な場面が、めまぐるしく細切れで展開される。だじゃれに次ぐだじゃれ、台詞としての成立は目的としていないかのような、聞き取りの困難な、喚き声と冗長な早口、聞くに耐えない音楽が大音量で絶え間なく続く。しかし、…

年末、北千住で

珈琲を飲んだ。本当は、焼きそばを食べて、冬眠中のツキノワグマを見るはずだった。

著者

一度目を通せば諳んじたため、書物の所有にまるで執着しなかった人物が、唯一、何度も読み返していた本がある。聖書でも広辞苑でもない。読め、と渡されて仕方なく開いた頁に並ぶ、削ぎ落とされた日本語を必死に追うが、解読できずにいた。それが今になって…

ご協力のお願い

2008年1月15日に、Gallery≠Galleryの代表、佐藤洋一氏が亡くなられました。この件に関して、何かご存知のことがありましたら、こちらまで、どんなことでもお教えいただけないでしょうか。どうか、よろしくお願いします。 真摯に展示を企画されてきた佐藤氏の…

窒息

「かりにだね、鉄の部屋があったとするよ。窓はひとつもないし、こわすことも絶対にできんのだ。なかには熟睡している人間がおおぜいいる。まもなく窒息死してしまうことだろう。だが昏睡状態で死へ移行するのだから、死の悲哀は感じないんだ。いま、大声を…

断絶

忘却は喪失にひとしい。/守ろうとしているものはもしかしたら空疎な抜け殻ではないか。そもそも守る力さえもはやないかもしれない。/むしろ断絶をよしとしてみよう。所詮ひとは忘れるものなのだから。まず持続ありきの議論には意味がない。発見する喜びに…

物語

まるで悪い冗談。それでも、きっと、人生は素晴らしい。「物語 ――― 自己を正当化しようとしないひとりの男。自分について他人が勝手にいだく判断の方が、かれには好ましい。かれは、たったひとりで自分の真実を自覚しながら死んでゆく」 (カミュ『手帖I』より…

仮説

「人間の欲望が満足の限度を知らないのは、恐怖からの逃走だからである。恐怖から必死に逃走している者には、これで充分だとか、このあたりでやめておこうというゆとりはない。」 サンドイッチはきゅうりに限る。11年前のコタツについてうかがい、ある人物…