矛盾

写真美術館でマリオ・ジャコメッリ展。あらゆるものが孕む矛盾を、矛盾のまま静かに現前する手法。狭い見解で判断をくだし解決する、その単純さから遠く離れた心地よさ。工房親で田中隆史展。焼き物の作家さんによる平面での実験的な試み。吹き付けた色の痕跡によって、支持体の前に設置されていた実際の物体を意識する。その形状は、物自体の存在の記録と、喪失を示す。ブリキ星で森田春菜展。物質が認識される前提から脱するための色の変化についてうかがう。意味の発生によって物の有を感じている。では、感じない有を対象化するには。たとえば、触れればこぼれ落ちる作品の破片。みずのそらで富田惠子展。弾むような、微笑みと叫びを同時に体験する。額に閉じ込めておくのがまったく惜しい。立体作品をリクエストする。