私小説

・・・私はこの二十年余の間、ここに録した文章を書きながら、心にあるむごさを感じ続けて来た。併しにも拘らず書き続けて来たのは、書くことが私にはただ一つの救いであったからである。凡て生前の遺稿として書いた。書くことはまた一つの狂気である。(車谷長吉「盬壺の匙」あとがきより)