甘い香り

「私はいかなる希望ももっていなかった。しかし、私の内部ではなおもひとつの期待が生きつづけていた。・・・私は一体、性懲りもなく、どのような事件を、どのような嘲笑を、どのような苦悩を期待しているのだろうか。それは私にもよくわからない」(スタニスワフ・レムソラリスの陽のもとに」飯田規和訳 より)


たまに笑う友人の笑いは、ほほえみでも苦笑いでもなく、苦しそうに息ををしぼりだすという笑いだ。途切れることなく届く、独創的で変幻自在な思考の吐露。辛辣で刺激に満ちたそれらを聞いていると、菓子の空き箱に閉じ込められた心地になる。