ブジイノル

あの頃私はあなたからの連絡を心待ちにしていました。かつてあの人から聞いていたただひとりの人の朧な断片が、息吹を持って眼前に現れた衝撃は、詳細な事実と大切な思い出をうかがうにつれ増大する一方でした。その頃の私にはあなたに渡さなくてはならない伝言が溢れていたのですが、それらを伝えることができたか心許ないまま年月が経ってしまいました。2月に届いた便りで、あなたが今もあの人と共にいることを知り、うれしさの余り頓珍漢な返信をしてしまいました。ご無事を祈っています。