白かと思って咲いたら紫だった時計草ほか数十種類が満ちる庭についてうかがう。そういう方は生まれながらに緑の指を持っている。私はといえば枇杷もサボテンも枯らしてしまう。植えると増える小さな蕾をいただきジャケットのポケットにそっと入れる。昏々と眠る。道を探していると言っていたような気もするが定かではない。その人は滅多に口を開かぬまま場を一変する。奇跡のようだといつも思うが顔には出さない。