「いっそひとおもいにとどめを」とおぼろの意識が唱え出す。過去のあらゆる痛みを総合しても適わぬ体感で転げまわる身に、そこに留まらず進むようたしなめる冷静な声。母子共に高死亡率の重篤な症状を起こしていたことなど露知らず、耳に届いた泣声に笑いが湧き出る。淡い掌にすいすい伸びる生命線の頼もしさ。