運動

(21日)東京大学先端科学技術研究センターで、御厨貴氏と内海信彦氏の対談。‘95年にNHKで放映された安保闘争の記録『怒りをうたえ』を見る。8時間に及ぶその映像を1時間に編集した学生の徐正教氏は、当時の学生の味方のような気分になったそうだ。 「それは私が、今もまだデモなどの活動を頻繁に行っている韓国で育ってきた故、日本で成長してきた同世代たちとは考え方が違うためかもしれない」  このことを裏付けるように、会場に来ていた学生達からは、学生運動への否定的で冷やかな感想が並ぶ。例えば耳を疑うこんな意見。 「どうせ何も変わらないし、やっても無駄だと思う」 (この学生が無気力なわけではなく、他国の活動を見聞し実際にデモに参加した上での、母国に対する皮肉であった) この映像では、学生側の視点と機動隊側の視点が錯綜し、見るものの混乱を誘う。徴兵制度のある国では、立場の反転は個人のうちで常々あるようだ。もともとは警察の正当性を全国に訴えるためにTV放映されたそうで、「1年間の闘争は、政治に何の影響も与えなかった」と結ばれている。本当の活動家はごくわずかであり、活動の中心にいた人ほど黙秘し続ける状況で、このような記録に接する機会は増えて然るべきだと思うが、無料で提供されていた映像も売れるとふまれた途端、見られなくなるようだ。