某大学にて、ある作家を特集したVTRを見せていただく。古い家屋の一室、今にもなだれを起こしかねない状態の書物に囲まれ、片膝を立て座卓で執筆する姿。田園の中を北に向かう電車内、インタビュアーの問いかけに、「自分は最低の奴だ」と静かに答える姿。作家の作品中幾度も出てくる「沼」、まさにその沼の傍らで座っている姿。