無傷

深夜の警察署。居合わせた女性と少し話す。「この辺りは穏やかでとてもいいところですね」「私は穏やかな環境は少しだけでいいわ。たくさんの刺激が常に溢れていないと、感覚が薄れていくようで。歳を重ねて生の終わりが間近に見えてくると特に、走り続けていないと不安なの。止まることが怖くて。先に先に進まないと、生きているって感じられないのよ」 破壊行為を散々に受けた絵画が、破けた袋からのぞいている。無傷のまま。