メモ(小林美佳さんインタビューより)

「・・・隠すことや我慢することを美徳とする社会の規範が、被害者の葛藤を招くのかもしれません。・・・被害者のそうした心理を見越して、犯罪を繰り返す加害者もいます」


「本当のことを話せるまで何か月もかかったのは、自分の身に起きたことを認めたくないし、認められなかったからです。フラッシュバックが起こって眠れなかったり、体が硬直したりするような症状が続いていました。・・・信頼できる人がひとりもいないと死を選ぶ人もいます」


「・・・見知った人からの暴力だとなかなか回復できないことが多い。『一緒についていったからだ』と、被害者のほうが非難されることもあります。さらに近親者が加害者だと、家族にすら言えません。だから自傷を繰り返したり、精神的に不安定になって入院したりすることも多いのです」


「被害者が自責の念を募らせず、なんとか自分の被害を話せるようになっても理解されるとは限りません。『相手を思う』気持ちがあったにせよ、必ずしも被害者の心情を汲むことにつながらないのはなぜだと思いますか?」


「被害の内容を知ろうとせず、ただ『忘れなさい』と、とにかく社会や周りとのバランスを取ることを被害者に要求するからではないでしょうか。・・・たとえば、親が被害を受けた子どもを守ろうとして、事件や犯人のことについて一切話さないように接したとします。けれど被害者が自分の身に起きたことを聞いて欲しいと思い、また、話した上での理解を望んでいたら、親は守ろうとしている我が子をスポイルしていることになります。被害者の思いを身近な人が取り逃がしているわけです」


「・・・聞かずに理解はできないと思います。・・・被害を受けた人から『死にたい』とか『私には価値がない』といった一行だけのメールが来ることがあります。それを見ると『あのときの私の状況だ』と思います。なんでもいいから思いを誰かにぶつけたい。自分で受け止めきれないから、誰かに助けを求めたい。だから、せめてそれにはちゃんと返したいと思います。求めても得られない手応えのなさに悲しい思いをしていましたから」
性犯罪被害者支援活動「みかつき」を運営されている小林美佳さんのインタビューより)