遠足

抜け落ちていた人々と塗り潰された場所で過ごす。齢七十のふたりと海を眺め野山を歩き酒をのむ。蕗と筍、鯵に鰯に、医師の説得。雷雨を眺め、メタクサを燃料に夜通し遠足。河川敷で砂にまみれTVを囲む。風で赤カブが飛んでいった。


「全くどんな苦痛も、生きることにくらべれば物の数ではない。」(高橋和己『日々の葬祭』より)