脱出

遊工房Galleryで栗山斉展。窓ガラス越しの陽光や木々の緑とAM放送のノイズ。消滅の瞬間を定着した印画紙は、記された日時と暖かな色味の額装により、まるで肖像画のよう。遊工房StudioBで小林史子展。役割から解放された束の間の休みか、役割を与えられ出番の時か、物そのものが無意識を表明したように、移動して再配置され、展示後元の場所に戻される。on goingで柴田祐輔・山本篤展。ささやかに転覆される意味。回転する衣類が、乾燥ドラムからの脱出により、壮絶でただひたすらな何かとなる。愛おしいほど不可解なその姿。眩しい窓の外には200本の蛍光灯。足元には150枚のカーペット。A-thingsで西原功織展・地図シリーズ。実在する場所の地図画像を元にした81点の作品。唐突のようで通底している併設の作品は展示替えあり。盗みたくなるかという基準に照らすと、ある一点の作品にその誘惑を覚える。氏の作品が孕む脅威に大いに頷く。現在進行中の作品も順次展開されていく今後の展示が見逃せなくなってしまった。県立神奈川近代文学館澁澤龍彦生誕80年回顧展。偏りのない好奇心と親愛の情に満ちた快活な氏の姿に出会える。円覚寺の「水と空気の変容」展で、阿部佳明氏による不穏な気配が吹き出る装置にまんまとはまる。