質量

空と緑が見渡せるとこで鳥の声に囲まれて暮らしたいという願いは、気を失っている間に叶っていた。最小限の持ち物は悲しくなるほど大切なものばかりでこれ以上何も手にいれたくない。 「畜生、幸せなどない、人生はなるようになるし、ただひとつの幸いとは、退屈を知るときだ、、、 」 弓道の稽古を見学する。動きを動きと感じさせない重心移動。何も待たないときの質量の変化に口を噤む。濃縮した静けさは、凍ったまま沸騰しているようだった。ロスコは絵を世に送り出す危険性を説いた。鑑賞者の反応によって絵が傷つくこと恐れたためだ。でも、鑑賞者も作品によって傷を負う。