ハイエース

池にドジョウを放し、憧れの白いハイエースで松本に向かう。ある何かが加工され名前と値をつけられる。その必然性なき行く末の羅列に、目のやりばをなくす。水の底そのものや、自然に発光しているものや、とても軽い立方体を見て少し楽になる。路地のやたらと巨大な花々と、どぶを流れる透明な水に驚く。 「―――人工と不合理は人間性の印だ」  把握できないまま、何の違和感もなく記憶に残っている何か。当然のようにそこにいた、その何かだけが重みを持っている。支離滅裂な中、その何かによって呼吸を許されている。