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「時代の商品としての言説の様々な意匠の向こうに、ほんとうに切実な問いと、根柢をめざす思考と、地についた方法とだけを求める反時代の精神たちに、わたしはことばを届けたい。虚構の経済は崩壊したといわれるけれども、虚構の言説は未だ崩壊していない。だからこの種子は逆風の中に播かれる。アクチュアルなもの、リアルなもの、実質的なものがまっすぐに語り交わされる時代を準備する世代たちの内に、青青(せいせい)とした思考の芽を点火することだけを願って、わたしは分類の仕様のない書物を世界の内に放ちたい」 (真木悠介「自我の起源」あとがきより)