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シンポジウム「1968+40」(渡辺一民/絓秀実/酒井隆史橋本努鈴木謙介芹沢一也荻上チキ)に行く途上の古書店にて、田中長徳氏の20年前のご著書と、井筒俊彦「意識と本質」を入手。オペラシティでトン・コープマンのパイプオルガン・リサイタル。ブクステフーデとF.クープラン、そしてJ.S.バッハ。アンコールにスカルラッティ


始終、満面笑顔のコープマン。その目は異常に鋭い。明晰に迷走する刺激的なシンポジウムは、当事者の回顧録に終始し封印の様相を呈するひとつの現象を、多角的な見解によって広げ、換骨奪胎への可能性を大いに示してくれるものであった。その前進への意思を拒むかのように、ヒールに徹し嫌味をばらまく年長某氏に、誠実に対応し、緻密で明快な論旨を柔軟に駆使する若年某氏。閉塞を打ち破る、確かな力を備えた人物を眼前にし、呼吸が楽になった。



「けれどもほんたうのさいはひは一体何だらう」 「僕わからない」(宮沢賢治銀河鉄道の夜」より)