2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

メモ(灰)

フリーダは生前の希望通り火葬にふされた。炉から出てきた時、遺骨は少しの間、その骨格をとどめていたという。これを見たディエゴは、上着のポケットから小さなスケッチブックを取り出し、無言でフリーダの銀色の骨格を写しとった。終えると彼はフリーダの…

メモ(無意味沙汰)

・・・しかし世の中には、まさに危険の神秘的な魅力にひかれる天性の人たちがいる。不可能なことを敢行した場合にはじめて、おのれの力の充実を感じ、向う見ずな冒険が唯一のふさわしい生存形式だといった、人生の一か八かのばくちうちがあるものである。太…

メモ(「美術書簡」より)

・・・それからごく真剣にこう言った、――「仕事をしなくてはいけない、仕事だけは、しなくてはね。辛抱づよくしなければね」と。何かをつくろうなどと考えたりしてはいけない。自分自身の表現法を強化して、すべてを言おうとだけ努めなくてはならない。仕事…

口に入れると森の音がする透明な立方体をいただく。

メモ(「犬」より)

それからまた・・・彼女にとっては生きながらの地獄の生活がつづいた。彼女は逃げたいという気は寸時もやまなかったけれど逃げ出せる望みはまったくなかった。・・・彼女はただなにもかも「神罰」とあきらめるほかしかたがなかった。 (中勘助「犬」より)

メモ(「現代芸術と大衆の立場」より)

・・・それらが一体芸術であるのか・・・私にはわからない。・・・この場合、過去の私の絵画についての経験は、それがどんなものであれ、役に立つと同様に、邪魔になりそうに思われる。私は、・・・その美的価値を云々しなければならない。ところが、私がか…

メモ(塔)

大切な人々はたとえどこかに行ってしまっても、いつも私たちの人生のすぐ近くに、透明な沈黙として留まっているのだから。(フィリップ・クローデル「月のピエロ」 高橋啓訳より) 小さな刷毛にて塗られし塔。風吹き抜ける高所の作業人をココア片手に眺め鳩…

メモ(破局点)

・・・人間は誰も、理性で統御された「正常」な仮面の下に、多かれ少なかれ狂気を秘めた存在である。日常性が打ち破られ、危機的状況におかれた時、それまで自己を制御し保護していた理性や正常な意識が麻痺し、人間は狂気にさらされる。その緊張状態がある…

メモ(準備中)

お待たせしました 心の準備はいいか? あなたの内蔵を揺さぶるこの男! 膀胱が破裂するかも ひざもガクガクだ ついに登場! ソウルのゴッドファーザー ソウル・ブラザー No.1! ジェームス・ブラウン! (ジェフリー・レヴィ=ヒント監督「SOULPOWER」より)

メモ(1945年)

・・・ブロンデルに関連してーー le psychologique pur [純粋心理]・・・の混沌の中から何か形のあるものを作り出すこと、それが要するに精神生活の意義である。 Concepts collectifs [共同観念]をはみ出すものが多ければ多いほどーーというより、そうしたも…