2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「そして、最後に、眠くなる、なぜか、意味のあるのは眠ることだと思うからだ」 自由学園明日館で篠田桃紅展。闇の手前の墨色。毅然とした灰色。軽やかで鋭い迫力。穏やかで深い気配。4回死にかけたことがあるという、95歳の篠田氏。そのときの状況を詳し…

ハイエース

池にドジョウを放し、憧れの白いハイエースで松本に向かう。ある何かが加工され名前と値をつけられる。その必然性なき行く末の羅列に、目のやりばをなくす。水の底そのものや、自然に発光しているものや、とても軽い立方体を見て少し楽になる。路地のやたら…

浮力

底なしの穴に対する躊躇を持ち合わせていない。よって浮力をつける。日差しのまぶしい午後、世田谷線を往復してフェルドマンにたどり着く。ブランコの軋む音が響くような不安とともにある心地よさ。「我々に必要なのは、強く、真っ直ぐで、明確で永遠に理解…

ツァラ

築野友衣子氏によるトリスタン・ツァラの研究発表を聞く。一瞬の生であるダダがダダダ、、、と増殖する菌のように感染する様が存分に伝わってきた。大平具彦氏曰わく、ツァラにとりつかれている築野氏。ツァラとの出会いは美大予備校時代とのこと。評価され…

質量

空と緑が見渡せるとこで鳥の声に囲まれて暮らしたいという願いは、気を失っている間に叶っていた。最小限の持ち物は悲しくなるほど大切なものばかりでこれ以上何も手にいれたくない。 「畜生、幸せなどない、人生はなるようになるし、ただひとつの幸いとは、…

脱出

遊工房Galleryで栗山斉展。窓ガラス越しの陽光や木々の緑とAM放送のノイズ。消滅の瞬間を定着した印画紙は、記された日時と暖かな色味の額装により、まるで肖像画のよう。遊工房StudioBで小林史子展。役割から解放された束の間の休みか、役割を与えられ出番…

だるまさん

「だるまさんがころんだ だるまさんがわらった」 「だるまさんのあたまは だるまさんをせめたて だるまさんのからだは だるまさんにあらがう」 「だるまさんしかしらぬ だるまさんのよろこび だるまさんしかしらぬ だるまさんのかなしみ」 「だるまさんがこ…

11月

わからない、わからない、と繰り返し言う人に、わたしもだ、と伝えると、その人は笑い出してこう言った。 ひとつ言えるのは、今が11月だということです、そのほかのことは、わからない、わからない、・・・ ふいに、坂道の途中でまわり続ける人を思い出す…

準備

器用に本を切り刻み、巣の準備をしている古書店のインコ。準備ばかりして、転ぶ前からすでに傷だらけだった人は、裏通りの説教をありがたがって、呆れるほど何度も頭を下げて、その後、説教とはまるで反対のことをした。 「ある安定した価値観に支えられた日…