2008-01-01から1年間の記事一覧

圧縮

サントリーホールでミカエル・レヴィナスの「叫び声」(日本初演)。脱出しやすい席を確保するも、演奏が控えめであったためか脳が溶け出すこともなく、続くユーグ・デュフール「水を司る星」(日本初演)と、ジェラール・グリゼー「ヴォルテクス・テムポル…

”ni mode”

【スペイン語メキシコ弁】 仕方ないか どうしようもない そんな事もあるよ あきらめよう・・・度々メキシコ人が繰り出す必殺文句である。交通事故であろうと、政治腐敗があろうと、レストランでドイツ人観光客に"Kill You"と言われようと、明らかに自分が間…

芝居

先日見た、あるお芝居。ひたすら下世話な場面が、めまぐるしく細切れで展開される。だじゃれに次ぐだじゃれ、台詞としての成立は目的としていないかのような、聞き取りの困難な、喚き声と冗長な早口、聞くに耐えない音楽が大音量で絶え間なく続く。しかし、…

年末、北千住で

珈琲を飲んだ。本当は、焼きそばを食べて、冬眠中のツキノワグマを見るはずだった。

著者

一度目を通せば諳んじたため、書物の所有にまるで執着しなかった人物が、唯一、何度も読み返していた本がある。聖書でも広辞苑でもない。読め、と渡されて仕方なく開いた頁に並ぶ、削ぎ落とされた日本語を必死に追うが、解読できずにいた。それが今になって…

ご協力のお願い

2008年1月15日に、Gallery≠Galleryの代表、佐藤洋一氏が亡くなられました。この件に関して、何かご存知のことがありましたら、こちらまで、どんなことでもお教えいただけないでしょうか。どうか、よろしくお願いします。 真摯に展示を企画されてきた佐藤氏の…

窒息

「かりにだね、鉄の部屋があったとするよ。窓はひとつもないし、こわすことも絶対にできんのだ。なかには熟睡している人間がおおぜいいる。まもなく窒息死してしまうことだろう。だが昏睡状態で死へ移行するのだから、死の悲哀は感じないんだ。いま、大声を…

断絶

忘却は喪失にひとしい。/守ろうとしているものはもしかしたら空疎な抜け殻ではないか。そもそも守る力さえもはやないかもしれない。/むしろ断絶をよしとしてみよう。所詮ひとは忘れるものなのだから。まず持続ありきの議論には意味がない。発見する喜びに…

物語

まるで悪い冗談。それでも、きっと、人生は素晴らしい。「物語 ――― 自己を正当化しようとしないひとりの男。自分について他人が勝手にいだく判断の方が、かれには好ましい。かれは、たったひとりで自分の真実を自覚しながら死んでゆく」 (カミュ『手帖I』より…

仮説

「人間の欲望が満足の限度を知らないのは、恐怖からの逃走だからである。恐怖から必死に逃走している者には、これで充分だとか、このあたりでやめておこうというゆとりはない。」 サンドイッチはきゅうりに限る。11年前のコタツについてうかがい、ある人物…

メモ

SHUGOARTSでイルバ・オーグランド展「道しるべの女―眠りにつく」。Hiromiyoshiiで大塚聡展「時をみる」。小山登美夫7Fで桑久保徹展「World Ctizens with the White Boxes」、6Fでゲルト&ウーヴァ・トビアス展。ART TRACEでグループ展(有原友一・境澤邦泰…

甘酒

「どの宿命のなかにも、ひとつの錯乱が存在している。こいつを整理することが大切だ」日常の移動手段では物理的に不可能な待ち合わせ時間を設定したのは、滅多にない立ち読みの機会を確保するためだったようだ。遅れて着くと、いましがた読み込んだらしい岡…

メモ

scaixscaiで神谷徹展「closer」。馬喰町ART+EATで野嶋奈央子展。FOILで齊藤彩・MAYUKO(S)MAYUKO(S)MAYUKO(S)二人展。森岡書店で柏木麻里展「蜜の根のひびくかぎりに」。タグチファインアートで常設展。レクトヴァーソで野畑常義展「KA WA KA A A」。INAXで下…

「 」

私は「条件」に従うことによってしか「運動」の原理を(原理の永遠を)知ることができない それは例外なく 「思うこと」の無意味を隠蔽せずにはおかない だが いったい「無意味」が露呈する私の作為に反駁する「生命」があるのだろうか その断続的な疑いに絶…

いない

いない人、あなたがいない、いない詩、あなたがいない、いない人のために、いない詩のために、私を捧げる、いない世界に、いるものがいない、いない人の血のために、いない血の拒否のために、いない世界の拒否のために、私を捧げる、いない人は捨てられたか…

居た

「夜はまだいい。周りが闇に閉ざされているから」 川の流れに従ってくるくるまわる鴨のこどもたち。 「昼は光が入って、家の隅々、庭まで見えてしまう」 スーパーに入ると決まって恋は水色が流れている。 「そこに、それまで居た人がいない」 TRINUSで不思議…

メモ

東京国立博物館で「対決 巨匠たちの日本美術」。 Jinで松永かの展「たずねる」。福果ではっとりこうへい展「木と色と形」。PLACE Mで室田あい展「記録の断片」。蒼穹舎で原芳市展「現の闇」。藝大美術館陳列館で素描展(東京藝大日本画第二研究室)。KINGYO…

メモ

アートもりもとで田嶋徹展。gggで2008 ADC展。資生堂ギャラリーで「夢の饗宴 〜歴史を彩るメニュー×現代のアーティストたち〜」。月光荘地下で有機栽培珈琲。花田美術で三澤憲司氏の「飛行機雲」「ドット」「ライン」。源吉兆庵銀座店で柳田國男展。黒田陶苑…

soiで渡辺遼展「手のひらの彫刻」。Galleria ACCaで井上枝利奈展。東京国立近代美術館でペーター・メルクリと青木淳「建築がうまれるとき」。東京都現代美術館で「屋上庭園」と、岡田公彦氏の「Aluminum Landscape」。大久保で煙に巻かれる会。"For every ev…

朗読

女子美ガレリアニケで浜田涼展「忘却録」。写大ギャラリーで小林紀晴展「はなはねに」。Niepceで小原里美展「インカローズ」。Rooneeで大津茂巳×腐肉狼展「Sing for Ruins」。 ユイットで西村陽一郎展「発光」。全国伝統的工芸センターで矢代益美氏による江…

無念

WALLで井山桂一×吉田昌平展「人と本」。二モードで天本健一展。MUSEE Fで阿部岳史×元木孝美展「depth room」。Orné de FeuillesとyuyujinとWISE・WISE。文京アートで麻生知子展「旅行みやげ」。GalleryFURUYAで松本三和展「昼」。「何か聞いてくれれば答える…

心臓

秋山画廊で今井大介展「蛇口 あるいは 平行宇宙」。MUSEE Fで内田亜里展「見る」。表参道画廊で河名裕二展。森岡書店で細江英公展「ミス ペテン」。日本橋高島屋美術画廊でミヤケマイ展「ココでないドコか」。美術画廊Xで山田純嗣展「DEEP FOREST−既視感の森…

記憶

ブリキ星で内藤瑤子展「ソフトクリームな人々」。FALLでみやきあきこ展。三鷹市美術ギャラリーで齋藤あきひこ展。ギャラリー由芽で堀本俊樹展「ARK 愚者の船」。文鳥舎で焼き林檎。it'sで秘密基地(大村剛・黒畑日佐代・吉田次朗・古道具水無月)。high-kyo…

メモ

藝大美術館でバウハウス・デッサウ展。オペラシティで「F1 疾走するデザイン」。新美術館でエミリー・ウングワレー展。ワコウでニナ・バイエ&マリー・ルンド展。ケンジタキでアルフレッド・ジャー展。SCAI THE BATHHOUSEでチェ・ウラム展「Anima Machines…

運動

(21日)東京大学先端科学技術研究センターで、御厨貴氏と内海信彦氏の対談。‘95年にNHKで放映された安保闘争の記録『怒りをうたえ』を見る。8時間に及ぶその映像を1時間に編集した学生の徐正教氏は、当時の学生の味方のような気分になったそうだ。 「そ…

この辺りは店舗が少なく、そのほとんどは個人店だ。以前は積極的に企業を誘致し、法人税で潤ったそうだが、異常景気の終焉後、それらは撤退または縮小し、自治体の財政は悪化の一途、とのこと。しかし衰退の印象はない。ひとりひとりの声が直接的に効力を発…

公園

水路が塞がれ住宅が並び、その名残はもうないが、この辺り一帯は桑畑だったそうだ。治外法権区域がすぐそばにあり、その敷地内のゴルフ場は隣の市にまたがっている。接収される前は帝国陸軍士官学校で、天皇行幸のために整備された道が残っている。様々な鳥…

電柱

「いいひとはみんな/屋根の上のほうにいるとわたしも思います」 電柱の上にとまったカラスがニワトリの声で鳴いている。おじさんたちがシロツメクサを摘んでいる。すれちがった人がこちらを向いて、ごめんね、ごめん、と言う。地元の議会と交渉し理不尽な法…

待ち合わせ

(某日・敬称略)西荻窪で待ち合わせる。Oは新しい自転車で現れ、Tはてきぱきと名刺を配り、Nは老犬を撮る。Kは曇り空を探し、K'はにこにこしている。私は円形蛍光灯の連なりにみとれる。 (某日・敬称略)代官山で待ち合わせる。K''は蚊にくわれ、Y…

(13日)見たこともない巨大な蝶が、駅のホームをよちよち歩いている。誰かがオルガンでミサ曲を練習している。跪く人もいる。しばらくそこにいる。ヘリコプターが飛び交っている。白い布が揺れている。「人は幸福になるために生まれてきたわけではない」 旧…